子育て支援タクシーについて

子育て支援タクシー運行について

NPO法人 葉山っ子すくすくパラダイスでは、逗子菊池タクシー株式会社の「子育て支援タクシー」の運行に応援・協力しています。

1.連携の概要と背景・ニーズ

「子育て支援タクシー」は、ベビーカーの搬送やチャイルドシートの設置など乳幼児連れでの外出サポートや、出産が近い妊婦に配慮した病院などへの送迎、安心して子どもだけが乗車できるサービスのことです。
乳幼児連れでの乗車や子どもだけの乗車に対応できるよう、子どもとの接し方などの研修を受けたドライバーさんが運転するタクシーです。
逗子菊池タクシー株式会社(以下「菊池タクシー」)の「子育て支援タクシー」は、「葉山っ子すくすくパラダイス」(以下「すくすくパラダイス」)の提案をきっかけにスタート。
すくすくパラダイスはドライバーさんの研修などに協力しています。

すくすくパラダイスは、逗子市と葉山町で、子ども達の健やか成長を願い、ママやパパをはじめ子育て家族を応援するために、2007年5月より活動を始めました。
日頃から託児・遊びの広場・絵本読み聞かせ・民生委員など、さまざまな子育て支援活動に関わっている仲間が集まり、ママ達がほっとできる場所づくりや、子ども達が元気で楽しく過せるよう、葉山の自然を活用した親子の野外活動や居場所の提供、出張保育サービス、親の子育て力向上を目的とした「トリプルP前向き子育てプログラム」グループワークの実施や子育て相談など、子育てに関するさまざまな取り組みをしています。

逗子・葉山は豊な自然に恵まれている反面交通の便が悪いため、車でないと不便な地域です。
でも、車で出かけると駐車場探しが大変ですし、だから言って小さい子どもとタクシーに乗るには抵抗があります。
「駅まで一日に何度も送り迎えするのがたいへん」とか、「子どもを連れて病院へ行く時だけでも、気軽にタクシーを使えたら」、「子どもが一人でタクシーに乗れたら」というママ達の声を何度も聞いていました。
こんな、子育て中の皆さんの切実な思いに応えるために、「子育てタクシー」をやってもらえれば、との願いが形になりました。

2.連携が生まれたきっかけは?

菊池タクシーさんとは、「子育てフェスティバル」で出会いました。
社長の菊池尚さんにママ達の声を伝えたところ、「それなら子育て支援タクシーをやりましょう。」と快く引き受けてくれました。
神奈川県内では、タクシー会社と子ども・子育てに関わるNPOが連携し、いくつかの地域で実施されています。
そうした実績もあったので、菊池タクシーさんとの数回の話し合いの後、子育てタクシーをスタートすることができました。
2009年から運行が始まり、現在では約20名のドライバーが活躍しています。

ドライバーさんには、初めに子育てタクシー協会主催の講習会に参加してもらい、「すくすくパラダイス」で保育実習をお願いしています。

子ども達と紙芝居や絵本を読み一緒に遊ぶことで接し方に慣れてもらい、ママ達の声を聞く場を設け、どのようなことに配慮すればいいのかを学んでもらいます。
また月に1回、菊池タクシーさんと打ち合わせ行い、子育て中の立場からの利用者の声やサービスについてなど話し合いの機会を設けています。
子育てタクシーの利用には、必ず子どもの年齢や特徴などについての事前登録が必要です。
そこで、まずはママ達にこのサービスがあることを知ってもらうよう、周辺地域で活動している子ども・子育て団体に告知の協力をお願いしたり、子育てイベントに菊池タクシーさんと一緒に参加をして広報活動をしています。
開始後、約2年がたちましたが、現在登録数は70件を超え、口コミなどで徐々に浸透してきました。
登録者からは、おかげ様で助かっていますという声が寄せられています。

3.連携を通じて生まれた結果や望ましい変化について

菊池タクシーさんと連携したことで、地元企業や商店街とのご縁ができました。
菊池タクシーさんは地元で古くから運行している老舗のタクシー会社であり、地元との繋がりが強く菊池タクシーさんを通して、今まで接点が持てなかった企業やお店と繋がることができました。
この縁がきっかけで、2010年12月に葉山にある結婚式場と連携をしてクリスマス企画を実施することができました。
乳幼児をもつパパとママに結婚式場にあるレストランで、ゆっくりランチをしてもらい、その間子ども達を式場のスペースをお借りして預かるというサービスです。
参加者からは「普段夫婦でゆっくり落ち着いてご飯を食べることができないので、とても素敵な記念になりました。」と大変好評をいただきました。

今後もバンケットホールを活用したイベントの実施や結婚式での託児サービスなどで事業連携できればと考えています。
また、この春には、地域の企業や商店にも協賛をいただき、0歳から親子参加できるクラシックコンサートを開催する予定です。

私たちが活動している地域はそんなに大きくないため、地元に信頼してもらうことが何より大事です。
老舗の菊池タクシーさんと連携したことで、他の企業や商店からも信用してもらえるようになり、活動の新たな可能性を広げることができました。

【企業担当者よりメッセージ】

逗子菊池タクシー株式会社 代表取締役社長 菊池尚氏

タクシードライバーはどうしても男性が多く、女性が気軽に安心して利用しにくい面があります。
このため、今まで子育て世代の顧客層との接点が薄かったのですが、「すくすくパラダイス」との事業連携で、口コミなどでサービスが広がることで、子育て中の女性にも信頼して利用してもらえるようになったと実感しています。
特に、子育て活動をしているNPOが中間に入ることで、直接タクシードライバーに言いにくいことを伝えてもらえるため、ドライバーの意識向上、顧客サービスの向上に繋がっています。
もともと介護タクシーのサービスを行っており、身軽に動けない人を世話することはタクシーの使命だと考えています。
これからも一人でも多くの人にタクシーを気軽に利用してもらい、外出を楽しんでいただきたいと思います。